Shaping the Ladies: ブラの歴史
ブラの発明は初めは胸部を支えるため、隠すため、または美しく見せるために考案されました。2023年現在、私たちは伝統的な美的感覚と実用主義の交差点に立ち、多くの人がブラが実際に私たちの助けになるのか、それとも束縛するものなのかについて議論を始めています。ブラの起源を振り返ることで、ブラと女性との関係をどのように考えるべきかを見出す手助けになるかもしれません。
紀元前の下着の歴史
最古のブラは紀元前14世紀のミノス文明の美術品に見られます。また、紀元前5世紀から4世紀のギリシャでは、女性は胸部を支えるために帯を使用していました。ギリシャ神話では、愛の女神アフロディーテが特有の下着を身につけている様子が描かれています。古代ローマ文化においても、女性は布を巻きつけて胸部を包み、運動時の不快感を軽減し、体を隠す役割も果たしました。宗教の影響が強い中世になると、平坦で隠されたバストラインが主流となり、体の曲線を強調することは教義に反すると考えられ、美の概念も避けられました。

細い腰と豊かなヒップが追求された16世紀
しかし1347年に発生した黒死病(ペスト)は、生き延びた人々に「人生は短い」ということを悟らせ、彼らは享楽を追求し始めました。こうして、細い腰と豊かなヒップを持つ「砂時計型」女性の体型が崇拝されるようになりました。その流れを受けて、16世紀の西洋貴族の間で「コルセット(ウエストニッパー)」が大流行しました。フランス王妃カトリーヌは、太い腰を禁止する令を施行し、イギリス女王エリザベス1世も積極的にコルセットの着用を推奨しました。これにより、当時の美的感覚は細い腰がセクシーさの象徴となり、ウエストラインを引き締めることで、胸部や臀部がより豊かに見えるという女性美の典型が形成されました。映画などでも、貴族の女性が外出前に深呼吸をし、お腹を引き締め、メイドが背後の紐を力いっぱい締めるシーンをよく目にします。


ブラの発展を加速させた第一次世界大戦
ブラの発展を探る上で、第一次世界大戦は確実に大きな転換点です。1920年代、アメリカの戦争産業委員会は、女性に対して窮屈なブラを着用しないよう公に求めました。戦時中、金属や繊維製品は軍需品として優先され、ブラを製造する余裕がなくなったためです。同時に女性が外で働く必要があったため、不便で不快で高価なブラよりも、少量の布で作られ、快適で自由に動けるバンドゥ型のブラが重宝されるようになりました。

戦後、「良妻賢母」のイメージに反旗を翻した弾丸ブラ
第二次世界大戦中、尖った円錐型の弾丸ブラは兵士たちの間で非常に人気がありました。凹凸のある曲線美が士気を高めると考えられていたのです。戦争が終わった後この流行は民間にも広まり、シンプルで実用的な服装に飽きた人々は、女性の魅力を強調するファッションに憧れるようになりました。ハリウッド女優のマリリン・モンローをはじめとするセレブたちがこのブラを着用し、「もしこの社会が女性に胸を隠すことを求めるなら、彼女たちはさらに強調して見せつける」というメッセージを発信しました。ブラをタイトなニットと合わせて着用し、胸の存在を強調するスタイルは、賢妻良母という社会的期待に対する反抗と見なされ、1950年代に大きな流行となりました。
最も広く知られている弾丸ブラは、ファッションデザイナーのジャン=ポール・ゴルチエが1990年にマドンナのためにデザインしたものです。これは近代ファッション産業の中で目立つ存在として記憶されています。しかし、1960年代にフェミニズムが発展し、身体の解放を主張するようになると、このスタイルのブラの人気は急速に衰えました。


近代ブラの発明者
近代ブラの発明者とされるのは、アメリカの社交界の名士であるメアリー・フェルプス・ジェイコブです。彼女はある日、パーティーに参加した際、タイトなコルセットが薄手のドレスの下で非常に目立ってしまうことに気づきました。そのため、彼女はひらめき、2枚のシルクのスカーフとハンカチを使ってブラを作りました。この工夫によって、ダンスをしても自由に動くことができました。
この革新的なアイデアは多くの女性に支持され、彼女は1914年にこのデザインで特許を取得し、「ブラジャー(brassiere)」と名付けました。

近代の下着について語る際に、Victoria’s Secret(ヴィクトリアズ・シークレット)を避けて通ることはできません。1995年に初の「ヴィクトリアズ・シークレット・ファッションショー」が登場して以来、このブランドは「セクシーな魅力」「寄せて上げる」をテーマに、世間の下着に対するイメージを主導しました。女性はセクシーでスリムでなければならず、「天使の顔に悪魔の体型」を持つべきだというメッセージを発信していました。
しかし、女性の意識が広がるにつれ、ヴィクトリアズ・シークレットの一面的な美意識が女性を物化していると多くの批判を浴び、かつてのファッションイベントは2019年にひっそりと幕を閉じました。多様な価値観を受け入れることが普及する中で、ヴィクトリアズ・シークレットが描く女性美の解釈が単一であることが明らかになり、下着が「着るもの」と「見せるもの」の間で議論と反省の余地がより広がることになりました。

コロナで変化した下着の流行
2020年に世界中でコロナウイルスのパンデミックが発生したことで、人々はこれまでの生活様式を変えざるを得なくなりました。自宅で過ごす時間が増えるにつれ、身体の快適さに対する関心が高まり、多くの女性が「下着は自分のために着るべきものであり、外部の美的視線に応えるためではない」という認識を深めるようになりました。その結果、ワイヤレスブラ 、トライアングルブラ、さらには日常と運動の両方に適したブラを試す女性が増えています。これらのタイプのブラは、在宅勤務や運動のニーズを満たすだけでなく、妊娠・授乳期、手術後の回復期、または身体に怪我を負った女性にとっても、非常に優しい選択肢となっています。

このように、下着の進化は女性の意識と密接に関係していることがわかります。改めて私たちが自由に選択できる時代と国に住んでいることを幸運に思います。胸部の見せ方や下着の機能に関して標準的な答えはなく、すべての体がそれぞれの主張を持つに値します。RENは、すべての女性が下着を自分自身のスタイルで着こなせることを願っています。
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